ニュースレター第30号をお届けいたします。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
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目 次
(1)愛児園の子どもたちのウェブアルバム
(2)寄付の状況
(3)活動報告 ~5月交流会~
(4) 筑波愛児園 山口園長からのメッセージ
(5)LIPメンバーからのメッセージ
(6)代表 慎の出演イベントのお知らせ
(7)LIP定例イベントのお知らせ ~Chance Makerアワー~
(8)LIPメンバー募集のお知らせ
(9)編集後記
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(1)愛児園の子どもたちのウェブアルバム
~寄付総額1,000万円到達への感謝を込めて~
先月寄付金の総額が1000万円に到達したことへの感謝の気持ちを込めて、子どもたちの様子をお知らせするウェブアルバムを作成致しましたので、ぜひご覧ください!

【代表慎からの感謝のメッセージ】
私たちの最初の支援先である筑波愛児園では、年内竣工に向けての施設新設工事が進んでいます。この新設の認可が降りたのもチャンスメーカーの寄付金があってこそです。皆様には心から御礼申し上げます。
皆様のお蔭で建つことになる施設では、未来に亘って数百人の子どもたちが暮らすことになります。そこでは、子どもはより家庭に近い環境で育つことができ、子どものその後の人生もよりよいものになっていくはずです。
とはいえ、全国には支援を必要としている施設が他にもたくさんあります。将来的に他の施設の支援を進めていくためにはより多くの寄付金が必要です。今後とも、変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
(2)寄付の状況
2013年5月末の寄付の状況を報告致します。
基本情報 (括弧内は4月分)
寄付者数 393名(375名)
寄付金総額 11,003,000 円(10,261,000円)
5月分の寄付金 742,000円(708,000円)
(3)活動報告 〜5月交流会〜
料理は、人の喜びの源泉なのかも知れません。
5月26日(日)、筑波愛児園の子どもたち7人が、はるばる江東区の区民センターまで来てくれました。高校を卒業してから3年ほど調理師としてイタリア料理店で働いていた、わたしの経験を子どもたちに伝えようと、区民センターの調理実習室で、料理教室を開催したのです。
小麦粉にオリーブオイルと卵を入れて生地を作るところから始まり、サラダ用のドレッシング、ホワイトソース、ピッツァ、パスタ、デザートにいたるまで、すべて一から作り上げたことは子どもたちの心にとても深い印象を与えたようで、「自分が作った料理を他の人が美味しいといって食べてくれたのが嬉しい」と、普段はあまり交流会に興味を示さなかった子どもも喜んでくれました。
わたしは中学高校を通じてお芝居の道にはまってしまい、家にはほとんど帰らない生活を送っていました。学校へは劇団の稽古場から直接通える距離だったので、それほど問題にはならなかったのですが(それでも問題ですけれど)、当時、最も困ったのは食事です。
両親とは折り合いが悪く、一人で生きていこうと決意していたものの、とにかく食べるものがありませんでした。そんなわたしがアルバイト先に選んだのは、当時、三宮にあったイタリア料理店です。
まだできて間もないあたらしいお店で、パスタ料理を中心にこれからフランチャイズ展開していこうという熱気にあふれていました。当時まだ15歳だったわたしも毎日楽しく仕事をしてたのですが、1995年1月16日の営業を最後に、閉店してしまいました。
ところで、いまでも劇団の研究生や俳優、女優の卵を目指している人たちの中には、飲食店でアルバイトする人が多いと聞きます。それは、料理店で働くと「まかない」がつくので、給料が安くても食べることには困らないから、という理由からなのです。
大きな劇団の公演に呼ばれるようになったり、テレビや雑誌に出演するようになったりして、お芝居の道で食べていけるようになるとアルバイトもやめていくことになるのですが、わたし自身も含め、そのまま調理師として働き続ける人も少なくありません。もちろん、自分にはお芝居の才能がないことに気づき、諦めるということなのですが、実はその過程において、料理を提供するという事自体にある感動を覚えることがきっかけとなることが多いのです。
自分が作った料理を、見ず知らずの人が食べ、美味しい!と感動して、最後はお金まで払ってくれる。お芝居の厳しい稽古や、両親との軋轢に悩んでいたわたしにとって、それは、文字通り心が震えるほどの経験でした。
児童養護施設の子どもたちの多くは、高校を卒業した後、自分たちで生計を立てて生活して行かなければなりません。
しっかりしたご両親がいて経済的にも余裕がある家庭に育った子どもたちは、自分のやりたいことが見つかるまでとりあえず大学に通うという選択肢を持つことができますが、卒業した後、住む場所と食べることを最優先に考えなければならない施設の子ども達にとって、その選択は高嶺の花であるのが現状です。
しかし、料理という道を通じて、他人に幸せを与えられるという喜びを得られるとともに、食事の心配をしなくても済むようになるということは、子供たちにとってはとても現実的な選択肢の一つになり得るものと確信することができました。
今年の春から高校1年生になったAちゃんが、帰り際に「調理師もいいな・・・」と呟いていた姿が、忘れられません。
次の交流会は6月。
子どもたちにとっても身近な「天気」がテーマ。果たしてどんな交流会になるのか。子どもたちの元気な姿をまた見られることを楽しみにしています。みなさまも、次回のニュースレターをお楽しみに!
(4)筑波愛児園 山口園長からのメッセージ
先月に引き続き、皆さまにご支援頂いている筑波愛児園の山口園長へのインタビュー記事をご紹介します。
後編①
児童養護施設の職員の仕事は「精神的な臓器移植」。
先生がそんな考えに至ったきっかけは、勤め先の卒園生が遂げた壮絶な死でした。
http://lipedu.blogspot.jp/2013/04/blog-post_5855.html
後編②
児童養護施設の果たすべき役割の一つは、親子関係を修復し、子どもを家庭に戻すこと。皆さまのご支援を受けて今年秋に新築される施設には、そのための取り組みができる部屋が3室作られます。
http://lipedu.blogspot.jp/2013/04/blog-post_18.html
今月はインタビューに付随して、国の施策として里親制度を強化していくという流れについて、先生のお考えを伺いました。

少人数の生活ができると言う点で里親は良いと思いますが、自分の子どもを育てた経験だけでは、虐待を受けた子どもに対応できません。虐待をされた子どもは基本的に怒りを持っていますから、里親さんが子どもを受け止めようとした時、怒りが表出してきます。子どもにとっては本当の親御さんの代わりですから、暴れる、言うことを聞かない、わざわざおしっこをして困らせる、というようなことが起こります。
そうすると、里親さんはその表出のすさまじさに耐えられなくなり、「こんなに一生懸命やっているのになぜこの子は」と感情が爆発し、その子どもに対して悪意を持ってしまうことがあります。こうしたことを心理学的には“逆転移”というのですが、養育する側がその子に否定的な感情を持ってしまうんです。そうすると狭い空間では常に感情がぶつかり合うことになります。そのため私は、里親さんもそれなりにきちんとした訓練を受けているべきだと思います。
里親さんとうまくいかず、施設に帰ってくるケースもあります。これから先は、里親さんが困ったときには一時的に施設で子どもを預かって、その子が落ち着きを取り戻して、里親さんも状況を受け止められたら、また里親家庭に返していく、という、一時保護機能をも施設が担うべきではないか、と思っています。
私たちも、熱が出たら病院に行って点滴を打ち体力が戻れば帰宅するということをしますけれど、それと同じようなシステムが必要になってくるのだろう、ということです。
■先生プロフィール
山口公一氏 (社会福祉法人 筑波会 児童養護施設「筑波愛児園」施設長 法人理事)
千葉県社会福祉協議会職員を経て1971年から東京都職員として40年に渡り
都立児童養護施設(8施設)知的障害者更正施設の指導員 養護係長 ファミリー
ソーシャルワーカー等を務める。2011年4月1日から現職。
著書に『保育の場で出会う「家庭支援論」』『子どもが語る施設の暮らし②』など。
東京地区児童養護施設高校生交流会実行委員(’93-’07)。仕事をする上では、「施設で暮らさなければならない子どもへ共感を忘れない―その人の心になって
身になって―」ということを心掛けている。
(5)LIPメンバーからのメッセージ
はじめまして。本年5月よりLIPに参加している佐藤と申します。普段は、Webを中心としたデジタルマーケティングのコンサルティングに従事しています。
私は、“専門的なスキルで、困っている人を助ける”ということを、自分のビジョンとして持って生きています。「普通の市民が社会問題に取り組むことで、何ができるのか?」「この世の中に、自分のスキルでどこまで貢献できるのか?」それは、この人生を懸けた実験だと思っています。故に、本業以外の時間(平日の深夜・週末)を使って、LIPの他にも幾つかの団体の支援・サポートを継続しています。
さて、簡単に自己紹介をします。父は大学教授、母はピアノの先生、姉はクラシック・ピアニスト、という…今思えば、何とも個性的な家庭に長男として生まれました。自分の勉強部屋はピアノレッスンの防音室の真上で、姉が夜遅くまでピアノの練習をするのを聞きながら、私は勉強もそこそこに良く寝る子どもでした(今もそうですが)。そして、大学進学を期に、故郷である愛知の街から東京の街に出て来ました。
その後、大学院に進み、医学部の研究室で分子生物学の実験研究に従事。生命の基本単位である細胞の死が、どのように惹き起こされるのか?というテーマの下で生物を学び、理学修士を取得した後に就職・現在に至ります。
こうして振り返ってみると、自分自身の生い立ちは何とも平和なもので。正直、端から見れば、恵まれた人生だったのだと思います。無論、学校でのいじめ、少々の自己否定や挫折は、それなりにはあったのですが。一方で、「恵まれる」とは何なのか?という気も、します。むしろ、この国に、「恵まれる」ことのない人など、いていいはずがない。ロジックではなく、直観で、そう思います。
私は、5月のオープンハウスでLIPメンバーとして初めて筑波愛児園に行ってきました。初めての児童養護施設、そして園長先生とのお話。その日、自宅に戻って先ずしたことは、Chance Makerに申し込むことでした。つまり、私がChance Makerに登録して初めてのニュースレターに、何と自分の自己紹介記事が載っている、という由々しき事態が―今、正に、ここに起きております。
自分の人生は、きっと誰かとどこかでつながっている。そんな気がしています。児童養護施設にいる子どもたちも、自分とどこかでつながっているのではないか。そんな気がするのです。そんなつながりに、恥じることの無きよう。精一杯、努力したいと思います。
今後とも、何卒よろしくお願いします。
(6)代表 慎の出演イベントのお知らせ
慎がラジオの生放送に出演します!ぜひ聴いてみてください。
●6月18日 NHKラジオ第1放送
番組名:すっぴん!(8:00−11:50)
10:00-11:00頃の「すっぴんインタビュー」に出演予定です。
(7)LIP定例イベントのお知らせ
~Chance Makerアワーに行ってみませんか~
LIP教育プロジェクトでは、2ヶ月に一度「Chance Maker(チャンスメーカー)アワー」を開催しております。
「Chance Maker(チャンスメーカー) アワー」では、私たちLIP教育プロジェクトメンバーがLIPの活動紹介をするイベントです。Chance Makerのみなさまが支えてくださっています寄付プログラムやパートタイムで活動するメンバーの思いをお話させていただきます。
少人数の会であることを活かし、当日は参加者のみなさまからの質疑応答の時間を多く設けたいと考えています。もし気になっていること等ありましたら質問をしてみてください!
開催概要
日時:6月15日15:20-16:50
(受付開始時間:15:10)
場所:AT-Garage 東京都港区新橋6-18-3 中村ビル
http://ow.ly/jEkMH
http://www.facebook.com/atgaragepjt
※御成門が一番近いですが、新橋や浜松町/大門からもアクセスいいです。
◆定員 : 10名程度
◆参加費 : 無料
◆参加お申込フォームはこちら →http://bit.ly/13ixYQe
Chance Makerのみなさまにお会いできる機会を楽しみにしております!
(8)LIPメンバー募集のお知らせ
LIP教育プロジェクトのチームメンバーを募集しています!見学も随時受け付けておりますので、ご興味のある方は、下記フォームから是非お気軽にご連絡ください。
http://goo.gl/de2nr
LIP教育PJのTwitter、Facebookでもイベント情報や普段の活動について紹介しています。
「フォロー」、「リツート」や「いいね!」で、応援いただければ幸いです。
Twitter:
@lip_edu
Facebook:
Chance Maker
(9)編集後記
チャンスメーカーの皆さま向けのニュースレター編集を担当しております関口です。これまで2年間、本業の関係でロンドンにて勤務していましたが、先月東京に戻ってきました。
しかし、このニュースレター編集というお仕事は自分のいる場所によって何か勝手が変わる性質のものではなく、テクノロジーの進化した現在、自分のいる場所に関係なく仲間と協働できる範囲がとても広くなっていることを再確認しました。
Living in Peaceの中では、子どものいるメンバーも増えつつあり、そうした人たちも自分のライフスタイルに合わせて活動できる仕組みを整えていければと思っています。
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Livinginpeace.edu@gmail.com