親と暮らせない子どもたち

私たちLiving in Peaceは、児童養護施設という親と暮らすことができない子どもたちが暮らす施設を支援しています。

日本の子どもを取り巻く貧困と児童養護施設は、密接に関係しています。
豊かな国といわれる日本にも貧困があり、子どもたちもその影響を受けているのです。

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この図は、OECD(経済協力開発機構)が報告した、2000年における先進国の貧困率の国際比較です。
OECDに加盟している先進国の貧困率は平均して11.1%であるのに対し、先進国のなかで貧困率第1位のアメリカ(17.3%)に次いで、日本は第2位(15.7%)となっています。

2009年に厚生労働省が公表した日本の貧困率は16%で、特に、子どもの貧困率は、増加にもつながっています。ほかの先進国と比べて、十分に豊かといえるレベルではなく、そして、90年代中盤から2000年までで上昇しています。

※貧困率とは
相対的貧困率(貧困線に満たない世帯員の割合)のこと。平成21年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 112万円(実質値)。 例えば夫婦、子ども2人の4人世帯なら、世帯の可処分所得が年224万円(月186,666円)未満、単身世帯なら、年112万円(月93,333円)未満が貧困となります。(所得額のみで、資産は考慮されていません)

私たちが支援している児童養護施設は、日本全国に約580施設あり、1歳から18歳までの約3万人の子どもたちが暮らしています。そのうち、実の両親がいるのは全体の23%、実の母親のみは35%、実父のみは16%となっています。
特に、母子家庭の貧困率は66%と突出しており、児童養護施設に入所する子どもの多くが経済的に厳しい環境で生活してきたことがわかります。

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親と暮らせない子どもたち



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親自身の病気や経済的理由、そして親からの虐待など、さまざまな家庭の事情により家族と暮らすことが困難になった子どもたちが、児童養護施設で暮らしています。子どもたちのうち53%が虐待を受け、心に深い傷を負っています。

虐待を受けた子どもには、よりきめ細かいケアが必要です。そのためには、家庭になるべく近い環境を作り、子どもたちそれぞれの状況に合わせた養育を行うことが重要です。しかし、子どもたちを育む児童養護施設もまた、課題を抱えています。

全国の施設に住む子どもたちのうち、約7割は、依然、大舎制という一つの建物に、定員20人以上、平均では42人での共同生活という形態で暮らしており、一人一人の状況に合わせたケアを受けることが難しい状況であると考えられます。

加えて、児童養護施設においては、子どもたちと生活をともにし、心のケアを担う職員(以下、児童指導員)の人数が慢性的に足りないという状況があります。子どもに対する児童指導員の比率は、基本的に国の定めた配置基準で決められており、小学生以上の子ども5.5人につき職員1人と定められています。この基準をもとに、1日8時間の勤務でシフトを組むと、一人で担当する子どもの数が最大16.5人になる場合もあります。
熱意ある児童指導員も、物理的な時間の制約から一人一人の子どもと向き合い、個別のケアをすることには限界が生じてしまいます。


子どもたちは、高校を卒業する18歳になると児童養護施設を出なければなりません。
家庭に戻ることができない子どもは、自立して生活をするために、高校在学中からアルバイトに時間を費やし自立資金を貯めます。アルバイトと勉強の両立する生活は、一般家庭に育つ子どもより勉強する時間が少なくなりがちです。児童養護施設出身者の高校中退率は全国平均の約3倍、大学進学率は全国平均の約5分の1です。
そして、虐待を受け心のケアが必要な子どもは、「自分が大切な存在だ」と自分自身が思える自己肯定感が低く、「頑張る」という行動を取れないことがあり、高校を中退することもあります。その結果、就職が難しかったり、低い収入しか得られない厳しい現実が待ち構えています。経済的な貧困状況が世代を超えて連鎖していく可能性あるのです。

Living in Peace教育プロジェクトは子どもの貧困を解決したい、という想いから活動を始め、児童養護施設の支援を行っています。

私たちが児童養護施設を選んだ理由は、
1. 児童養護施設では虐待を受けた子どもが増加しており、その背景に貧困が大きく関係しているため
 貧困や虐待が子どもたちの将来の選択肢を狭め、貧困の連鎖を作り出していると考えられ
 ます。そのような困難な環境の中で生活している子どもたちに、自分自身の将来に多くの
 選択肢を持てるような仕組みを作ることで、より多くの子どもたちに等しくチャンスが
 提供される社会にできるのではないかと考えています。

2. 児童養護施設は全国に約580あり3万人以上の子どもたちが生活しているため
 自立の好循環を生む仕組みを作ることができれば、それを全国の施設に展開することが
 でき、結果的に多くの子どもたちの自立をサポートすることができるのではないかと、
 考えています。

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