認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第6回
2014年8月23日(土)
ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表 土井香苗さん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【前編】日本の社会的養護の仕組みは、国際的には「人権問題」
「すべての子どもが夢を持てる日本」へ
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里親は、現状には足りているが、理想には足りていない
慎 
里親の数は足りている・・・、確かに、「現時点で社会的養護の枠組みに入っている子どもの数」的には、里親の登録数は多いと思います。ですが、今は親御さんの元で育っているけれど社会的な受け皿がもっとあれば本当は親御さんと離れて暮らした方がいいかもしれない子どももいます。そう考えると、里親はもっと増えた方がいいんですよね。
土井
その通りですね。いま社会的養護を受けている子どもは約4万人ですが、それを必要としている子どもはもっとたくさんいる可能性が高いと感じます。ですから、「現状の『数』としては足りているが、理想には足りていない」、これが回答だと思います。
慎 
レポートにも述べられていましたが、里親を増やすという方針を出したときに、施設側からの反対意見が出る懸念がありますよね。反対意見とまではいかなくても、「難しいんじゃないか」とか「リスクがあるんじゃないか」といったことを言われる、みたいな。
土井
ありますね。
慎 
短期的には里親が増えても施設がなくなるわけではないのですが。しかし最近では、児童養護施設の中でも里親が増えた方がいいとおっしゃる方が増えてきたので、変わってきたなとも思います。施設側はどんな反応ですか?

土井香苗さん
土井
レポートを書くにあたって、施設の全国組織の人たちのご意見を伺ったり、いろいろなグループに話しに行ったりはしました。そしてそういうときの典型的な反応は、「総論は賛成、各論は賛否両方」というものでした。ただし、もっともな問いかけもあって、例えば、「私たちは1日1人8時間だから難しい子でも見られるが、里親になったら24時間になる、それができるんですか」とか。こうした里親支援の必要性はもっともな点で、日本の政策転換が必要なことに異論はありません。

土井香苗さん




特定非営利活動法人Living in Peace(理事長:慎泰俊)は、
児童養護施設に暮らす子どもたちの養育環境の改善や進路支援を行っています。
http://www.living-in-peace.org/chancemaker/

慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。

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