認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第4回
2014年2月25日(火)
衆議院議員 細野 豪志さん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【後編】多様なNPOが活躍すれば、社会はもっとよくなる
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

慎泰俊がいまお話ししたい人をお招きする対談企画『働きながら、社会を変える。』の第四回は、民主党の細野豪志さんをお迎えしました。細野さんは、民主党で「社会的養護を必要とする子どもたちを応援する議員連盟」の発足に尽力されるなど、子どもの社会的養護に取り組んでいらっしゃいます。

昨年の12/25のクリスマス、細野さんは、Living in Peaceが支援する筑波愛児園を、慎と共に訪問してくださり、この対談が実現しました。「票と金にならない」といわれる「児童養護施設」の課題になぜ取り組まれているのか、というお話しを中心に、これからのNPOと政治の関係や、NPOに期待することなどをたくさん伺いました。ぜひご一読ください。
(企画・構成:Living in Peace 教育プロジェクト)
社会を支えるNPO、NPOを支える政治という形
衆議院議員
細野 豪志さん
衆議院議員。1971年生まれ、1990年滋賀県立彦根東高等学校 卒業、1995年京都大学法学部 卒業、1999年三和総合研究所 退社、2000年衆議院議員初当選。
【衆議院議員として】
1期目(2000.6 ~ 2003.11)個人情報保護法の野党取りまとめ担当者として関わる。2期目(2003.11 – 2005.9)国民保護法制定に関わる。3期目(2005.9 – 2009.8)海洋基本法・宇宙基本法の制定に法案提出者として関わる予算委などで、天下りや公益法人改革などを追及。4期目(2009.8~2012.12)幹事長代理等を経て、内閣総理大臣補佐官、原発事故対応を担当し、担当大臣、その後環境大臣を兼任、民主党政策調査会長として政府与党の政策立案に携わる。5期目の現在(2012.12-2013)7民主党幹事長党綱領検討委員会の委員長として「綱領」策定の中心的役割を果たす、現在は文部科学委員会に所属

細野さん:日本の場合、里親や特別養子縁組がなかなか進まないと言われています。ですから、やはり施設をしっかりサポートしていくことは大事です。それと同時に、施設養護とは違う環境を作っていくことも重要ではないかと思うんですよね。もう少しいろんな人が、里親や特別養子縁組ができるような仕組みにした方がいいのではないかという議論もしているんです。 (以下、敬称略) 慎  :おっしゃるとおりだと思いますね。施設の方々ともそんな話をしていたのですが、里親が増えることは理想だと思います。子どもは、施設で育つことはあっても、いつか社会に出てちゃんと家庭を作って幸せな生活を送っていくために施設があると考えたときに、できれば家庭に近い環境で育つということは理想だと思うんです。それが増えていけばいいと思っています。 細野 :そうですね。 慎  :日本は、制度的な課題なのか文化的な課題なのか、なかなかまだ増えていないという現状はありますが、時間をかけて増えていけばいいと思います。これは地域差もあり、例えば新潟あたりは里親養護が非常に多いので、おそらく文化的な問題だけではないと思っているんです。やり方次第で進めていくことができるし、やっていくべきだと個人的には思っています。 細野 :それについては二つ問題があると思っています。一つは親権です。親の子どもに対する養育権が日本は非常に強いという点です。もう一つは、日本の家に対する考え方もあるのではないかと思っています。ある種、血縁主義というか、そうではない家庭を積極的に認めていこうという形になっていない面がありますよね。この二つは乗り越えなければいけない問題だと思っています。特に、家族というものに関しては、私は少し捉え方が狭すぎるのではないかと思います。もともと日本では、例えば長屋で生活していたら火事などがよくあって、子どもが最後に生き残って、残った大人が長屋で育てる、ということが一般的にありました。そのときの家族観は、もっとおおらかで、社会で子どもを育てるというものだったのではないでしょうか。血の繋がりに関係なく育てたという例はたくさんあったはずです。ところが、ある時期から家族観が非常に狭くなってしまって、血の繋がっていない子どもを育てるということにならない。社会もなかなかそれを受け入れない。そこをなんとかこれから乗り越えられないだろうか、と思うんです。

慎  :そうですね。日本にはコミュニティがもともとあって、その中にいる限りはいろんなサポートを、単なる家を超えてもたらしていたと思いますね。そのコミュニティが少し弱体化している感じは、特に都心部では増えていると思います。アパートの隣の人が誰だかわからないということはよくある話ですから。 細野 :全ての問題を政治で解決することはもう無理だと思うのです。そうなったときに、やはり親戚、血縁に全てを頼るというのは現実的ではないですよね。職場でもいいし、NPOでもいい、何らかのもので支えるという仕組みは必要です。滑り台みたいに、坂道を転げ落ちるように落ちてしまう人は、もうずっと下まで落ちてしまっているように思います。途中で踊り場のようなものがたくさんあればいいのですが、今はそれがあまりないですよね。その踊り場をつくる役割を、社会のいろんな主体が頑張ってやってくれて、それを政治が後ろからバックアップするというのも一つの姿じゃないかな、と思うんです。 慎  :そうですね。 細野 :ですから、NPOの支援の税制は大事だと思っているんです。我々は、「NPOは税金が安くなるんです」「税控除できますよ」、という言い方をし過ぎて失敗したのかもしれないと思っているんです。そうではなくて、NPOが社会の主役となってしっかりと活動することに意味がある、社会の仕組み自体をより分厚くしていく、多層なものにしていく、そういうものがたくさんあればあるほど世の中良くなるんです、ということを伝えていれば、皆さんの受け止め方も違ったかな、と、今さら後悔しているんです。
慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
記事一覧