衆議院議員 細野 豪志さん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【後編】多様なNPOが活躍すれば、社会はもっとよくなる
細野 :最近新しい動きとして、横浜市が施設を出た後の子どもに経済的にサポートしていこうという動きが出てきました。
慎 :ええ、とても大切な活動ですね。
細野 :あれはすごくいいなと思うんです。やはり、施設を出た後どうなるかということを、施設の先生方もすごく心配していますよね。自分から関わってきてくれる子どもたちはある程度ケアできても、施設を出たら縁が切れてしまう子どももいるわけですから、そういう子も含めてサポートできるような仕組みを、もちろん官も、民間も含めて、できるだけやっていこうという環境ができてくるといいですよね。
対談中の慎泰俊と細野さん
慎 :そうですね。退所後のサポートは今すごく足りていないところで、かつ、すごく重要なことだと思っています。今、児童養護施設にいられるのは、規定では18歳、特別な場合に20歳までというのが基本形なんですが、今20歳で自分一人で生きていくのって、けっこうしんどいです。
細野 :しんどいですよね。
慎 :世間で比較的多い家庭の20歳は、親を頼ることができるわけです。親を頼った状態で、例えば、実家にいながら大学通うことなどができると思うんですが、親をなかなか頼れない状態で大学出るのはほぼ不可能なんですよね。施設出身者で、そういうことができている子どもは、もともといた施設のサポートがある子が多いんです。ある施設では、施設の隣に住居をつくって、卒業生は家賃無料、水道光熱費だけでそこに住んでよい、という取り組みをされています。そういうサポートが今足りていないので、私たちも何かできないかと考えているところです。今私たちが運営している寄付プログラム「Chance Maker(チャンスメーカー)」は、施設を小規模なグループホームに建て替えて、子どもたちが家庭に近い環境で育つことができるように、施設の養育環境を変えるためのファンドレイジングです。そして、第二弾として、退所後の支援をやりたいと思っています。奨学金などは別の支援がありますので、家賃などの生活資金の補助ができないかと考えているところです。
細野 :なるほど。
慎 :私たちの支援に加えて頑張って奨学金をとれば物理的に生計が成り立つくらいの補助をしたいと思っています。それがある程度うまくいったら、それを政策などに反映させるように努力していければいいな、と思っているところです。
細野 :役所の論理としては、厚生労働省と文部科学省の狭間に落ちるテーマなんですよ。奨学金であれば文部科学省、でも児童養護施設は厚生労働省。18歳や20歳の若い人を対象に、学習をする環境や社会にチャレンジする環境をサポートするということは、どっちにも属さないようなところがあるんです。特に専門学校や大学へ行く場合は。この間私が委員会で質問をしたときに、下村文部科学大臣が視察に行くと言ってくださったんですね。
慎 :そうなんですか。
細野 :文科大臣が児童養護施設を視察に行くということは珍しいんです。ですから、一歩一歩なのですが、NPOの皆さんも頑張っていただいて、政治の世界もそこをしっかりケアしていくという体制をつくっていきたいです。
慎 :そうですね、ぜひそうしていければと思っています。今日はお忙しい中、ありがとうございました。貴重なお話しを伺えて、大変勉強になりました。
細野 :こちらこそ、ありがとうございました。