認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第4回
2014年2月25日(火)
衆議院議員 細野 豪志さん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【後編】多様なNPOが活躍すれば、社会はもっとよくなる
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「自分が頑張れるのは自分のおかげ」か
細野 :私は今、国会で文部科学委員会にいるのですが、下村文部科学大臣のご発言でいつも考え込んでしまうのは、「意欲と能力のある子どもたちには、しっかりチャンスを与えていきたい」という言葉なんです。児童養護施設の子どもたちと接していると、残念ながら意欲と能力を持つ機会に恵まれていない。

慎  :おっしゃるとおりですね。 細野 :まず、意欲を持つ環境にないわけです。親から虐待を受けているとか、自分は生きていて本当に良かったのか、生まれてきて良かったのかと、そういう思いを持っている子が多いわけですから。そこから出発している子を、どう支えて意欲を持ってもらうか。 慎  :そうですね。 細野 :みんなが意欲を持てるような環境をどのようにして提供していけるか、まずそこからだと思うんですよね。例えば勉強一つ例にとっても、初めから意欲を持てない子どもが、能力を発揮できるわけがないのですから。


対談中の細野さん
慎  :そうですね。それが正に、“他人事”ではなくて“自分事”にするということと繋がってくると思うんです。「やる気というものが自分のものではない」ということが、まだ世の中の常識になってないと思うんです。それを変えていくことが、すごく大切なんだと思います。「やる気がない人が悪いんでしょ」「やる気がないのはその人のせい」と、たいていの人たちが思っています。やる気がない、努力ができないのは本人のせいだから、その人たちの生活が悪くてもしょうがないじゃん、と。私も児童養護施設に深く関わるまでは無知だったので、自分がこれまで努力したのは自分のおかげだと思っていたところがあります。でも、そうではない、自分が努力してこれたのは、誰かがいたおかげだということに気づきました。そのことを、すごく伝えていきたいです。
細野 :何かをやろうとしたときに、親が「それはあなたならできると思うから頑張れ」と言ってくれるかどうか、これは人生にものすごく影響しますよね。ここにいる子どもたちは、そういうチャンスにどうしても恵まれにくいのではないかと思います。それを言ってあげる大人が、施設の職員さんや周りに、多ければ多いほどいいんだろうと思うんです。
慎  :そう思いますね。
慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。

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