認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第1回
2013年8月10日(土)
Teach For Japan代表 松田 悠介さん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【後編】リーダーシップとは信頼関係を作ること 真のリーダーが生まれる教育の現場
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慎泰俊がいま一番お話ししたい人をお招きする対談企画『働きながら、社会をかえる。』の第一回は、「NPO界の松岡修造」こと松田悠介さん(NPO法人Teach for Japan代表理事)との熱烈教育談義です。
四月某日、外の肌寒さをもろともせず、聴衆としていらっしゃったChance Makerの方々と、松田さんと慎とのあいだで、楽しく刺激溢れるやりとりが繰り広げられました。対談後には「わたしも教師になりたくなった!」という声が会場からちらほら聞こえるほど。
Teach for Japanの活動が目指しているのは何か?、なぜ教師になることで人は成長できるのか?、松田さんに伺いました。
(企画・構成:Living in Peace 教育プロジェクト)
Teach For Japan代表
松田 悠介さん
1983年千葉県生まれ。
2006年、日本大学文理学部体育学科卒業後、都内私立中高一貫校の体育科教諭として勤務。その後、千葉県市川市教育委員会 教育政策課分析官を経て、 2009年にハーバード教育大学院(School Leadership Program) で修士号を取得。帰国後は一年間、外資系コンサルティングファーム PriceWaterhouseCoopersで人材戦略にたずさわり、2010年、NPO法人Teach For Japanを設立、現在に至る。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。

慎  :TFJは優秀な教師を学校現場に送り込もうとしているわけですが、どういう人が教師に向いてるんですか? 松田さん(以下、敬称略):
僕らの採用基準は教員採用試験の採用基準と同じな部分ももちろんありますが、追加している要素もあります。教員採用試験で見られているのは、子ども大好き、まあすごい重要ですね、あとは指導法や教育法規、法律の部分など。
慎  :そうですね。 松田 :僕らがさらに大切にしているのは、ビジョンを策定することであったり、課題解決のマインドセットであったり、インフルエンス&モチベーション、他者を動機付ける、影響付けるコミュニケーション能力ですとか、あとは振り返りをする力、PDCAサイクルを回す力ですね。こういった、ある種社会人としてのコアコンピテンシーを重点的に見させていただいています。 慎  :すごくしっくりきますね。 松田 :現場に入って、自分が指導力を高めてかなければいけないなとか、教育法規をもっとちゃんと押さえておかないと周りの先生との関係が築けてないなっていうことに気づく。気づけばあとはもう行動を起こしていくだけだから、その行動を起こすための原動力、エンジンとなる部分をしっかりと採用の段階で見ているということは、既存の教員採用試験とは違うところかなと思います。

慎  :たしかに思い出してみると、印象に残っているいい先生って、社会人としてもこの人優秀になるんだろうなって思います。このTFJの採用基準、先進的な私立学校とかだったら受け入れやすいと思うんですけれど、TFJは公立学校に広めたいわけですよね。そういったところに受け入れてもらうためのノウハウみたいなものがあったら教えてほしいです。、私たちが児童養護施設の支援をしてるときにまさに感じることなんですけど、すごく気を付けないといけないのが、あなたたちだめですから助けてあげますっていうノリで入っていくと、まあまず痛い目に遭いますよね。 松田 :ですね。 慎  :リビングインピース(以下:LIP)の場合は、ファンドレイジングという施設の人たちが得意ではない、たしかに我々にはできないって相手がどう考えても納得してもらえるところから入っていって、「Chance Maker(チャンスメーカー)」という児童養護施設向けの寄付プログラムをローンチできました。もしくは、子ども達が社会人と接するキャリアセッションというプログラムもやっているのですが、これに関しても、施設の先生は社会人経験がほとんどないので、じゃあ社会人と接触する場を持ちましょうっていうのも入りやすかったんですが。 松田 :なるほど。 慎  :しかしTFJの場合は教員として入っていくので、そうするとこう、本当に僕はくだらないと思うんだけれど、負けを認めたくないって思う人たちがいるかもしれない。 松田 :はい 慎  :そういう人たち後回しにしましょうっていうのも一つだと思うんですが、将来的に拡大していくにおいて、特に問題とされている場所に入っていくことが重要だと思うので、そこのドアを開ける作戦っていうのは?
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慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
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