認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第1回
2013年8月10日(土)
Teach For Japan代表 松田 悠介 × Living in Peace 代表 慎泰俊
【後編】リーダーシップとは信頼関係を作ること 真のリーダーが生まれる教育の現場
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

TFAが違うなと思ったら、やめます
慎  :ティーチフォーのネットワークの中での縛りとかはあるんですか?
松田 :うん、ありますね。その国でリーダーとなりうる、優秀で情熱のある人材を2年間、学校現場に責任のあるポジションで送り込むっていう、すごい緩い縛りですけれど。

慎  :ネットワークに入ることのメリットはなんでしょう。 松田 :縛りより、メリットのほうがやっぱり大きくてですね、アメリカのみならず、今イギリスで10年目を迎えていたり、インド、中国、ネパール、ドイツ、いろんなところで始まっているんですが、いろんな国々で挙がってきているグッドプラクティスが全部、ティーチフォーオールという組織に集約されてくるんですね。それが分析されて体系化されていき、各国がそれをリソースとして使える。もう一つは、ティーチフォーオールはコンサルテーションの機能を持っていて、現場に2年間ティーチフォーオールの職員が配置されるんですね。今マウリース・ラブという職員が2年目を迎えているところなんですけれども。 慎  :TFJのサイトに載っている方ですね。

松田 :はい。TFAの強み、組織作りであったり、研修体系だったりを体現、そしてリソースにリーチアウトできる人が、現場にコンサルタントとして入ってくれているというのは大変ありがたいことですね。たぶん日本の社会課題を考えていくと、日本だけで存在してるものって少ないんですよ、実は。グローバル共通の課題であることがやっぱりすごく多くて。そういった意味では、この日本独特な課題もありつつも、グローバルな課題をどうグローバルのリソースを活かしながら解決していくのかというのが、すごく今後重要なコンセプトになってくるんじゃないかなと思っています。
慎  :私の本業(注:プライベートエクイティという投資ビジネス)になると、マッキンゼーとかゴールドマン・サックスとかいわゆるグローバルファームの出身者が8割とか9割とかなんで、いいなと思うのは、グローバルファームって知見が溜まってるので、困ったときに海外のオフィスの詳しい人に話聞いたら一発で解決するっていうことがたくさんあって。で、だから、その、羨ましいなと(笑)。私たち、リビングインピースはもう手探りでずっとやっているので、こういうのがあると本当にいいなと思ってるんです。
松田 :そうですね。
慎  :一つだけ確認してみたいのが、将来的にいつかビジョンが違うっていうときに、独立されるっていうことは可能性としてはあるんですか?
松田 :ああ、もちろんです。これはあくまで手段の一つでしかないので、松田悠介がTFJにこだわっているっていうのは全くないです。自分の過去を見ても、自分のその時に一番持ってる憤りや感じている課題を解決するのに、一番最初は教員になることでしたし、その後で、これは一学校だけではできないと思って教育委員会に入っていった。ちょっとここではできないなと思ったら、海外で先進的な事例を見つけてこようと留学した。で、TFAに出会って、これを社会を巻き込みながらっていうところに行き着いています。信じてやれるだけやって、違うんであれば違うで、もしくは思いが変わっていくんであれば自分は抜けていく、もしくは自分じゃなくてもいい組織作りというのを早くしてかなければいけないなとは思っています。
慎  :なんか土井香苗さんと系統が似てるような気がします。土井さんって元々人権弁護士でいろいろ活動していて、で、留学してヒューマンライツウォッチに出会う。これ日本でやろうと思ってやってるけれど、同じ質問をしてみたら、筋が通ってないと思ったら私自分でまたつくるわ、と言っていました。そういうマインドセットでやるといいなと思いますね。
慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
記事一覧