認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第1回
2013年7月20日(土)
Teach For Japan代表 松田 悠介 × Living in Peace 代表 慎泰俊
【前編】日本人にはもっと自信が必要 人の成長の源は”自己肯定感”
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教育はサイボーグではできないんでしょうか?
慎  :私は松田さんとは違う視点から考えていて、これからこの国は産業がどんどん無くなっていくので、雇用という観点から見ても、機械じゃだめで人間じゃなきゃだめだっていうところがもしあるとしたら、それすごい重要な、何か未来へのヒントになる気がしててですね...。やっぱりあれですか、サイボーグとかじゃだめなんですか?
松田 :サイボーグ...ですか?
慎  :はい、サイボーグ。
松田 :うーん。教育は、サイボーグでいい部分とサイボーグでだめな部分があると思っていて、本来教師が何をしなければいけないのかという業務を一つ整理する必要があると思うんですけれども。
慎  :はい。

松田 :今のオンラインエデュケーションの流れでいくと、コンテンツの部分はどんどんウェブであったり、限りなく低価格・高品質なものが世の中に出てくるんだろうなとは思います。「いや、それは人間がやるべきだ」というプライドを捨てて、そういった世の中のリソースを学校の現場の中に落とし込んでくのかっていうところもすごく大きな課題になってくるだろうなと。アメリカなんかはもうそれが主流となってきていて、カーンアカデミーであったり、MIT、ハーバードがもう大学の講義そのものをオンラインでオープンにしようと。日本でいえば、リクルートさんが手がけている限りなく低価格のオンライン学習塾のようなものもありますよね。

慎  :そうですね。

松田 :そういったところで、教科の専門的なところは学べると思います。けれども、それを何のためにとか、何に活かしてくのかということを伝えたり、もしくは今、日本の子どもたちが必要としている自尊感情の部分を上げていく上では、まだまだそこは人が介在しないといけないんだろうなと思っています。
慎  :自尊感情ですか。
松田 :そうです。国際的なデータでもあるんですけれども、65.2%の高校生が、自分をだめな人間だと思っているのが日本なんですよね。
慎  :自分もそうでしたね...。
松田 :中国とかアメリカが10%、20%ぐらいの低い水準って考えると、これは極めて高い数字。もうひとつ、「将来に対して夢や希望がありますか?」という中学生に対する調査なんですが、中国では9割以上の子どもたちが将来に希望があると。アメリカでも7割、韓国では6割近くあるんですが。
慎  :日本では?
松田 :日本は29%、3割を切っているんです。それこそ人が資源であるこの国において、未来の日本を背負っていく人たちが希望を持っていなかったり、自尊感情がないということは、これは重大な問題だと思っていて、これを良くしていくためには、何か魔法があるわけではなくて、これはもう日々の子どもたちとの関わりによって、自尊感情を高めてかなきゃいけないんだろうなと。それは、子どもたちを一つ一つの細かい言動を見て、気づいて、それを認めてあげる、受け入れてあげる。これは機械じゃできないことだと思います。
慎  :ここまでを整理すると、教育の現場で教えていることはWhatとWhyに分けられて、Whatはコンピュータにどんどん代替されていきそうな気がしていて、Whyは人にしかできない、と。
松田 :そうです。
慎  :そういう整理の中で数字の確認をしてみたいんですけど、アメリカとかは自尊感情は高いけれど、教育水準そのものは日本のほうが遥かに高いと言われたりするじゃないですか。たしかに感じるのが、読み書き算盤のレベルであれば、日本は飛び抜けた人は少ないけれど、比較的できる人はいるのかなと。
慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
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