認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第2回
2013年9月21日(土)
ライフネット生命保険株式会社代表取締役社長兼COO 岩瀬 大輔さん
× Living in Peace 代表 慎 泰俊
【前編】好きな人を応援したいという気持ちが、社会問題への入口であってもいい
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政治家や役人にも尊敬されている人の声は届く
慎  :ありがとうございます!とはいえ、児童養護は票にはならないという難しさはあるんですよね。日本のNGOは政治を動かすまで進んでいない感じがしています。国内でロビー活動に成功しているNGOはなかなかいないです。一方アメリカではかなりパワーのあるロビイストが多いですが、この違いは何だと思いますか?
岩瀬 :いや、日本も農協とか医師会とか薬剤師会とか、相当にロビイングをしているのではないでしょうか。
慎  :あ、そうですね。NPOじゃないけどやってますよね。
岩瀬 :そうそう。ただ、日本でNPOはあまり強くなかった、ということだと思います。
慎  :お金がある、ないは関係なく、その団体の力ということなんでしょうか。
岩瀬 :おそらくは。NPOの場合は、バラバラに活動しているイメージありますし、そのあたりのノウハウを知らないこともあるはずですが、結局は、NPOの世界に本当に影響力のある人がいなかったということだと思います。例えば、ジェフリー・サックスが電話したら、すぐに大企業の会長に話が通っちゃいますからね。
慎  :うーん。
岩瀬 :政治家や役人にも尊敬されている人の声は届きますよね。自分の利益を超えて活動しているという意味でリスペクトされ、インフルエンサーみたいに影響力を持つことが大事なんじゃないでしょうか。
慎  :そうですね。今やっと日本のNPOも、政治に物申せる人が出来てきたというような感じです。NPOに対する寄付の金額そのものが日米で100倍くらい開きがありますので、まだまだセクターとしては伸びていないんですけれど。でも、人ってすごく大切だなと思います。
岩瀬 :もうひとつ大事なのは、税金です。LIPは認定NPOですか?
慎  :はい。なので、LIPに対する寄付金は税額控除を受けることができます。
岩瀬 :その違いはとても大きいです。というのも、確定申告をしていると、税金にはとてもセンシティブになりますから、同じ寄付でも税金かかるかかからないかで全然違うという感覚があります。ですのでアメリカの人は、どうせ国に税金をあげるなら自分でその使い道を決めようと考えます。
慎  :なるほど。そうすると、日本は前回の税制改正で、アメリカよりも税優遇が取りやすくなったので、これからはそれがじわじわと効いてくるかもしれません。
岩瀬 :はい。最近は日本でも急速な広がりを肌で感じまするので、これからはどんどん変わっていくはずです。



特定非営利活動法人Living in Peace(理事長:慎泰俊)は、
児童養護施設に暮らす子どもたちの養育環境の改善や進路支援を行っています。
http://www.living-in-peace.org/chancemaker/


慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
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