認定NPO Living in Peace代表の慎泰俊が今会いたい人と、これからの働き方・子どもの未来について語ります
第5回
2014年5月27日(火)
サヘル・ローズさん × Living in Peace 代表 慎泰俊
【前編】私を育ててくれた日本への恩返し 日本の子どもたちを守りたい
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

日本への恩返しに、日本の子どもを育てたい
慎  :ちなみに、サヘルさんは日本で里親になられたら、どういうことをされたいんですか? サヘル:母とも話しているのですが、私たち親子は日本に救われたんです。だからある意味で、日本が私たちの里親になってくれたようなものです。でも私は日本という国に、これだけ里親を必要としている子どもたちがいるとは思っていなかったんですよ。それがすごく嫌で。親と暮らせない子どもの数は減ってはいないでしょう?

対談中のサヘルさん
慎  :減ってはいないですね。 サヘル:それはおかしいと思うんです。これだけ平和な国なのに。イランの場合は、国民ほとんどが、親と暮らせない子どもがどれくらいいて、施設がどれくらいあるということを、理解しています。日本は、これだけの国民がいながら、児童養護施設の子どものことや里親のことをほとんどの人が知らないし、あまり触れられることもありません。それを変えたいという気持ちがありました。あとは、一人でもいいのでそういう境遇にいる日本の子どもを育てたかった。かつて私は育ててもらった側でしたから、今度はお礼として、という気持ちです。しかしそれも、今の制度では難しいです。 慎  :そうですか。いや、それは実現すると思いますよ。でも、そうか・・・、結構大変かもしれませんね。 サヘル:海外、例えばイランでは、ロシアなど別の国の人がきて子どもを引き取ることが可能だし、ほとんどの場合に養子を国外に連れていくんですよ。でもそれが日本だと、外国人国籍の私が養子をもらうことはできないんです。 慎  :制度上はそうですよね。 サヘル:はい。だからたとえ海外から何かしら支援したい人がいても、実現されない。でも私は、そうした気持ちからの行為に血のつながりも関係なければ、国籍も関係ない、と思うんです。

特定非営利活動法人Living in Peace(理事長:慎泰俊)は、
児童養護施設に暮らす子どもたちの養育環境の改善や進路支援を行っています。
http://www.living-in-peace.org/chancemaker/

慎 泰俊 Taejun Shin
1981年東京生まれ。
朝鮮大学政治経済学部法律学科卒、早稲田大学ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て、現在はPEファンドの投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。

記事一覧